takshigaempのブログ

救急医!志賀隆 Takashi Shiga MD MPH

米国救急専門医です! たらい回しをなくしたい!ヘルスリテラシー・情報格差の改善を!元気で個性的な人材を育成をしたい! ※発言・文章は個人のもので組織のものではありません

CTオーダーした! あなたは翌日のレポート確認できますか? システムで対応しないとね :)

「救急外来で50歳の男性(加藤隆さん)の腹痛患者さんを診療した。発熱と左下腹部痛がある。血圧や脈はは正常範囲。腹部CTがオーダーされた。」

 

上記のようなシナリオはよくある救急外来の風景です。では、その後どうなったのでしょうか?

 

「腹痛の診断は憩室炎で加藤さんは抗生物質と痛み止めで帰宅。翌日の外来受診となった。」

ただ…翌日の放射線レポートが出たのは外来のあと!だった…

結果、

「加藤さんの腹部CTに写っていた肺の一部にある【腫瘍の影】について放射線科医は気づいてレポートに書いていたが、レポートの内容は確認されなかった」

 

放射線科医による正確なレポートは質の高い診療にとても大事で私も日々お世話になっております。ただ、タイムリーなレポートはどの国でも難しいことが多く、「大切な情報をどのように伝えるか?」

はどこの国でも難しく悩みのタネです。

 

私は5年間米国の病院で救急医をしていましたがそのときにはどうだったか?というと

-システム-がありました。

 

◯まずJoint comissionという米国の病院の質の評価をする第三者機構が「Timely reporting of critical findings in radiology has been identified by The Joint Commission as one of the National Patient Safety Goals.」患者安全の目標として-重要な放射線画像での所見は速やかにオーダーした臨床医のチームに届けられなくてはならないーとしています。

 

◯そのため放射線科医のチームは

-電話やポケットベル(Pagerといいメッセージが送れます)にて迅速に電話をしたり

電子カルテのメールシステムで 重要所見!としてカルテで確認するように注意喚起をします

 

◯そして臨床医のチームは確認したことを電子カルテでチェックしたり電子カルテに記載したりしています

 

医療の予算が乏しい日本ですが、「確認をしよう!」というだけでなく全国的な方針を決めて、電子カルテに注意喚起と確認機能を追加する。 といった個人の努力⇒システムで対応とすることがいいのではないでしょうか?

 

(参考) タイムリーに所見を伝えることの重要性を検証した論文

http://www.ajnr.org/content/ajnr/early/2014/04/10/ajnr.A3918.full.pdf

http://www.ajnr.org/content/ajnr/early/2014/04/10/ajnr.A3918.full.pdf