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救急医!志賀隆 Takashi Shiga MD MPH

米国救急専門医です! たらい回しをなくしたい!ヘルスリテラシー・情報格差の改善を!元気で個性的な人材を育成をしたい! ※発言・文章は個人のもので組織のものではありません

つらい二日酔いにならない方法は?…なってしまったら? 救急医が考える ^^

 節度を守って大人らしくアルコール摂取をしたとしても、二日酔いになってしまうことはありますよね。二日酔いで苦しまずに済む方法ついても伝えします。

 

1)睡眠をしっかりとる

 飲酒をすると入眠に効果があることは知られていますが、入眠後の睡眠の質は低下します。また翌日の眠気が増えることが知られています。そのため、アルコールを摂取した際には、普段よりも長い時間の睡眠をとることが二日酔い予防策として勧められます(参考A)。

 

2)朝食をしっかりとる

 二日酔いの状態のときには、低血糖となっていることがあります。というのも、アルコールが肝臓で分解される際には、他の働きよりもアルコール分解が優先されます。アルコールの分解には血糖をもとにしたエネルギーが必要になります。そのため、炭水化物を取らずに飲酒を続けると体内の血糖の貯蔵(グリコーゲン)が低下してしまいます。加えて、アルコールを摂取しているとブドウ糖を体内で作り出す糖新生という回路も抑制されてしまいます。低血糖は、気分不快や頭痛の原因となることがあります。そのため、お酒を飲んだ翌朝にはしっかりと炭水化物も含めた朝食を取ることがお勧めです(参考B)。

 

3)抗炎症薬を服用する

 二日酔いの気分不快は、抗炎症薬で軽減されることが知られています。この気分不快は、体内で発熱や炎症を促すプロスタグランジンなどの「サイトカイン」が原因である可能性が指摘されています。

 そこで、非ステロイド消炎物質(NSAIDS)の一種で「トルフェナム酸」という薬剤によって軽減されるか?という臨床研究が行われました。この研究ではトルフェナム酸200mgを飲酒前と睡眠前にとった群と、偽薬(プラセボ)をとった群が比較されました。トルフェナム酸服用群は、二日酔い全般の症状、頭痛、吐き気などに関して、偽薬群と比べて症状が軽減されていました。

 「抗炎症の薬? なにそれ?」と思われるかもしれませんが、一般的に市販されている頭痛薬や痛み止め(解熱鎮痛薬)のことです。なお、解熱鎮痛薬は胃腸の粘膜に負担をかけることがあります。そのため、必ず何かを食べてから服用するようにしてください(参考C)。

 

 これらの知識を頭に入れ、大人らしく上手にアルコールとおつきあいください。

   

(A)飲酒と睡眠の質についての論文:Alcohol Hangover, Sleep Quality, and Daytime Sleepiness(Sleep Vigilance <2017> 1:37–41)

(B)二日酔いと炭水化物摂取についての論文:Effects of fructose and glucose on ethanol-induced metabolic changes and on the intensity of alcohol intoxication and hangover.(PMID:1253812)

(C)二日酔いと抗炎症薬についての論文:Hangover headache and prostaglandins: prophylactic treatment with tolfenamic acid.(PMID:6342813)

 

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