当直医のための本 序文を書いてます ^^
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序文書いてます。。。
研修医時代の思い出でもっとも鮮明なものは当直での思い出です。同期の福島先生と一緒にくも膜下出血や外傷の患者さんの対応したこと、後藤先生と一緒に一晩に4件の心肺停止の患者さんの対応をしたことを今でも覚えています。医学教育の領域では「責任を持たされた中で、必要時に指導医の助けを求められる環境」が最も成長に良いと考えられています。この意味では当直はとっても多くの学びが得られる場と考えられます。
当直医のための本は、内科系であったり、外科系であったり病院マニュアルの発展型であったり様々なものが出ています。ただ、一番現場の知識をふんだんにもっている現場の救急専門医や小児科専門医・産婦人科専門医によって書かれた「当直医のための秘訣」が詰まった本は今までにはあまりありませんでした。ですので、今回の本書は、
●最新のエビデンスをぎっしり詰める
●薬はわかりやすく代表的な商品名を入れる
●表や図をたくさん入れる、重要なところを太字や下線にする
など実践的でありつつも、学びになる!ことを重視して構成しています。
「先生腹痛の患者さんが徒歩来院します!」「失神の患者さんが救急搬送されます!」と看護師さんから連絡があった際に「どうする!」「何を考える!」「どんな検査や治療が必要?」と必至にハンドブックを調べる方が多いと思います。事前の先輩と後輩とのブリーフィングができると診療はとてもスムーズに行きます。ブリーフィングに役立つように本書ではCritical(命に関わる)、Curable(治療できる)、Common(よくある)3つのCで鑑別診断を分けるようにして、先生方のお役に立てるようにしています。また、救急外来でオーダーする検査や薬剤についても標準化した項目立てをしてみやすく構成をしています。
本書は、白衣のポケットに入れてもらい「2分間で必要なことを学べる!」そんな本になればと思っています。救急科専門医は5000名を超えてきたところですが、まだまだ全国のすべての急性期病院にいるわけではありません。日本の当直・救急の現場は若手の医師の先生方や各科の当直医の先生方に支えられているのです。先輩と後輩の「耳学問」「失敗しないための知恵」が日々当直の現場で伝えらています。わかりやすさ・読みやすさとエビデンス・エクスペリエンスを両立することは簡単ではないようですが、可能と考えています。本書が当直現場のみなさまのお役にたち、日本の当直の質があがり、より多くの患者さんが当直の先生方によって救われることが我々の願いです。
日本の当直の現場で日々奮闘する医師/看護師/メディカルスタッフのみなさまに心より感謝いたします。我々を支えてくれる家族・友人たちにも感謝が欠かせません。そして、今回貴重な執筆の機会をくださりわがままな注文にも根気強くタイムリーに対応してくださった宮崎さま上村さまに心より御礼申し上げます。
我々が目指しているのはわかりやすくて質のよい当直ハンドブックによる日本の救急医療の改革です。是非みなさまに本書を手にとっていただき、旧態依然とする日本の当直の現場改革をお手伝いいただければと思います。