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救急医!志賀隆 Takashi Shiga MD MPH

米国救急専門医です! たらい回しをなくしたい!ヘルスリテラシー・情報格差の改善を!元気で個性的な人材を育成をしたい! ※発言・文章は個人のもので組織のものではありません

年末年始に悪い酔いしないアルコールの適量って?

医療プレミアの連載記事からの抜粋です

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◆あなたの「適量」はどのくらい?

 さて、お酒の種類はいろいろありますが、それぞれのお酒「1杯」には、15~18ml程度のエタノール(アルコール)が含まれます。

 たとえば、ビール350mlには、アルコールが5%含まれるとすれば17ml。ワイン150mlにはアルコールが11%含まれるとして16.5ml。45mlのウオッカやジンは、アルコールが40%含まれるとして18ml、という具合です。普段からご自身が飲まれる飲み物のアルコール濃度とアルコール含有量を、ある程度把握しておくことが大事になります。

 では、「飲み過ぎ」とはどれくらいの量なのでしょうか? 「米国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)」は、一度の飲酒の機会に男性なら5杯以上、女性では4杯以上飲んでしまうことを「飲み過ぎ」と定義しています。

 この量は、血中のアルコール濃度が急に上がってしまう(米国人で、血中濃度が0.08%以上になる)量です。また、長期間にわたって飲み過ぎが続くと脳や肝臓、心臓の障害を招きますし、不妊やがんの原因となることも知られています(参考1)。日本人は、身長も体重もアメリカのみなさんより低めですから、日本ならアルコール3、4杯を目安にしたほうがいいのかもしれません。

 

◆どんな状態になったら危ないの?

【ほろ酔い=血中濃度0.01-0.08%未満】飲み始めで血の中のアルコール濃度が低いときには、幸せな気分になって話が進みます。少しの注意散漫、判断力の低下がみられます。血中濃度0.08%未満が「ほろ酔い」となります。この程度でアルコールをストップして、リスクをコントロールしたいところですね 。

 【ふらつく、物を落とす=血中濃度0.08-0.20%未満】だんだんアルコール濃度が高くなると、まっすぐ歩けない、物を落とす、壊してしまうなどの失調症状が出てきます。

 【危険です 吐き気など(血中濃度0.20-0.30%未満】血中濃度がさらに高くなると、吐き気が出てきて嘔吐(おうと)します。何度も同じことを話すなど、考えがまとまらなくなります。こうなるととても危険です。

 【亡くなる心配も=血中濃度0.30%以上】これ以上進むと「混迷状態」となり、呼吸が止まってしまう、死に至るなど深刻な状態になりえます。

 このように、症状に応じて危険度がわかりますので、本人が注意するのに加えて、周囲の友人はお酒を飲んでいる人の様子を観察し、さらに飲まないようにストップすることが大事です。

 

◆飲んだお酒はどうなるの?
血中のアルコール濃度は、胃の中にどれくらい内容があるかにもよりますが、お酒を飲んでから30-90分程度でピークになります。アルコールの分解の95%は、肝臓の「アルコール脱水素酵素」という酵素が行っています。他に胃粘膜などにもありますが、基本的には肝臓で分解されると考えられます。

 この酵素の強さ(アルコールを分解する能力)は、遺伝によって決まっています。しかし「お父さんやお母さんがお酒が飲めるから私も大丈夫」という考え方は、実は正確ではないということが研究で分かっています。

 自分には、お酒を分解する酵素がどれくらいあるのか? 興味がある人や、お酒で残念な経験をしたことのある人は、アルコール体質判定のキットなどで一度調べてみてもいいかもしれません。 

 また、アルコール脱水素酵素の量は女性では少ないことも知られています。ですから、先ほど紹介したお酒の量であっても、女性の方がお酒の分解に時間がかかる傾向があります。ですので、女性が3杯目に至ったら、一緒に飲んでいる人は「そろそろ大丈夫?」「ノンアルコールにしたら?」などとアドバイスすることをお勧めします。

 

点滴も含めて「夢の薬」はないので要注意です ^^

 

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