takshigaempのブログ

救急医!志賀隆 Takashi Shiga MD MPH

米国救急専門医です! たらい回しをなくしたい!ヘルスリテラシー・情報格差の改善を!元気で個性的な人材を育成をしたい! ※発言・文章は個人のもので組織のものではありません

「24時間働けますか」は時代遅れ?

夜勤の多い救急医の睡眠対策について以前書いたものです ^^

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3つのポイント

 日勤の合間に夜勤や当直が混じっている際には、生活ギャップを最小限にする必要があります。読者の中には、「徹夜が得意だ」と豪語される方もいると思います。しかし実際には、漫然と日勤や夜勤を繰り返すと“ボディーブローのように”疲労が蓄積するものなのです。たとえ1カ月でも、漫然と繰り返せば、思わぬ疲労感にさいなまれる可能性が出てきます。また、夜勤が終わりに近づく時間帯には、誰でも集中力が散漫でミスが起こりやすいことも知られています。夜に勤務せざるを得ないみなさんの睡眠対策で重要なポイントは、(1)アンカースリープ (2)夜勤中、夜勤後の睡眠 (3)分割睡眠――の3つです。

(1)アンカースリープ

 こちらは日々勤務の時間帯が変わったとしても、毎日一定時間の睡眠を同じ時刻に取る、というものです。私がよく経験するのは、夜勤の前日23時に就寝して翌朝7時に起き、夜勤の際に運よく患者さんの来院が途切れて午前1時から3時まで仮眠の時間が取れるような場合です。この時は2日連続して1時から3時は睡眠の時間が取れていることになり、十分ではないにしろ一定の「アンカースリープ」は確保できていると言えるでしょう。

 医師にはさまざまな働き方があるので安定した「アンカースリープ」の確保は難しいかもしれませんが、最も望ましいアンカースリープの時間は0時から4時とされています。従って、0~4時の間は救急外来への来院が医療者の負担になりやすいので、医療者を守る観点や医療安全の観点で、なるべく避けていただいた方がいい時間帯だと考えられます。

(2)夜勤中、夜勤後の睡眠

 前述のアンカースリープにも関連しますが、睡眠・覚醒、体温の上昇やホルモンの分泌、神経系の機能など生物の生理活動が「1日」を基調にした日内リズムで動いていることは知られています。この観点から、夜勤中に仮眠が取れることの有用性が強調されている研究報告があります。看護師を対象にした研究では同じ睡眠であっても、夜勤中の睡眠は、夜勤前の睡眠と比べてより短い睡眠時間で回復が得られることが分かっています。交代勤務と言えども、医療者に夜に仮眠する時間があった方が良いという認識が医療界ならびに社会に広まると、結果的に医療者が燃え尽きにくい環境が広がると思われます。私のチームでは夜勤のシフト中であっても、休憩時間とは別に可能な限り1人30分程度は仮眠を取れるように工夫しています。30分仮眠の時間帯はもちろん、アンカースリープとして望ましい0~4時の間です。

 それでは夜勤後の睡眠はどうでしょうか?夜勤後は、日勤のサイクルに戻る必要が出てきます。そのような時には、夜勤後なるべく早く睡眠を取るようにします。そして、その睡眠時間は、4時間が望ましいのです。眠れるといって、それ以上寝てしまうと、単純ですが体は満足してしまい、同じ日の夜の睡眠の質が下がってしまうからです。

 

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