takshigaempのブログ

救急医!志賀隆 Takashi Shiga MD MPH

米国救急専門医です! たらい回しをなくしたい!ヘルスリテラシー・情報格差の改善を!元気で個性的な人材を育成をしたい! ※発言・文章は個人のもので組織のものではありません

コンサルトのうまいコツ、教えます ー気持ち良く仕事するためのちょっとした工夫の積み重ねー

コンサルトについてエムスリーに記事を書きました。以下一部貼り付けます。 ^^

ーー

私は、指導医セミナーを年2度開催しており、そこでよく参加してくださった指導医の先生方に

「コンサルトは短い方が良いか?長い方が良いか?」

と聞いています。圧倒的に多い答えは

「短めのコンサルトを求めている」

なんです。内科系でも外科系でもです。

 

では、「常に短いコンサルトが良い」のでしょうか?実際は、救急からコンサルト依頼で電話をかけた場合、電話をかけた側の先生が受話器の向こう側の先生から質問をたくさん受けて、ずっと電話から離れられないという場面をしばしば見かけます。これはなぜか?というと、患者さんの状態やコンサルタント側の科の特徴、性格、業務状況によって変わるからです。コンサルタント側も電話を聞きながら、

 -メモを取ろうとしている
 -電子カルテ端末まで移動している
 -今日の自分の業務内容を再確認し判断をするための準備をしている

など、さまざまな事情もあるからです。

従って私は、「短いコンサルトで良い」のか、「より詳しい情報がほしい長いコンサルトが良い」のかを、相談を受ける側であるコンサルタントの先生が判断できるようなプレゼンテーションが良いと考えています。具体的には、

 -短いコンサルトで終わっても大丈夫なように要点をまとめる
 -長くなっても大丈夫なように、より詳しく説明するための情報を揃える

の2段階で準備をしておくのが理想的です。要約した情報を伝え、コンサルタントの先生に求められた場合に、補足情報を伝えていくというスタイルです。以下、さらに詳しく段階に分けて見ていきましょう。引き続き、最も多いであろう電話でコンサルト依頼を相談する場面です。

I)「何のためのコンサルトか?」を明確にすることをお勧めします。

―(肺炎の)入院のご相談です―
―(虫垂炎の)手術適応のご相談です―
―(肩脱臼の)次回外来のご相談です―
―(解放骨折の)治療法の選択についてのご相談です―

などですね。大事なのは、診断名と相談の内容を必ず最初にお伝えすることです。先ほどの例であれば「虫垂炎疑いの患者さん」についての相談であることをまず明確にすべきでした。CTも確認できていますので、外科の先生は手が空いていたらすぐに来てくれるでしょう。

II)虫垂炎のように明確でなければ、ごく短いサマリーで「状況・背景・判断・提案」の4つを意識して伝えるコミュニケーションスキル「SBAR(エスバー)」を用います。

例えば、

 「S」 Situation :発熱、低酸素で来院した70歳の女性で

 「B」 Background : 既往に糖尿病と高血圧があります

 「A」 Assessment : X線にて肺炎の所見があり、培養後抗生物質を投与しています。

 「R」 Recommendation : 入院が必要と考えております。


のようになります。

ここまでの段階で、もしコンサルタントの先生から

 「分かりました。いま診ている患者さんの処置を終えて救急に行きます」

と返答があれば、電話は終了です。

III)電話が終了せず、以下のような質問があれば長めのプレゼンに切り替えます。

―発熱は何日間ですか?-
―胸部の聴診所見は?-
―痰の性状は?-

質問に答えつつ、「もう少し詳細な情報をお伝えさせてください」などと前置きし、カルテに沿って、「主訴」「現病歴」「システムリビュー」「既往歴」「内服薬」「社会歴」「アレルギー」「バイタルサイン」「身体所見」「検査所見」「初期評価と対応」などについて伝えていきます。

 最近、私は「コンサルトにあまり自信がない」という研修医の先生には、「I」、「II」を確認したあと、カルテと格闘する時間を5分ほど取ってもらい「III」にも対応できるよう準備を整えてからコンサルト依頼の電話するように指導しています。

 

米国の参考例などのさらにコンサルトについて知りたい方!

続きはこちらから! ⇓

 

www.m3.com