takshigaempのブログ

救急医!志賀隆 Takashi Shiga MD MPH

米国救急専門医です! たらい回しをなくしたい!ヘルスリテラシー・情報格差の改善を!元気で個性的な人材を育成をしたい! ※発言・文章は個人のもので組織のものではありません

「緊急の発熱」とありふれた風邪に病院ができること -医療プレミアより抜粋ー

 

 

今ちょうど仕事が大事なときなのに、なんだかだるい。朝起きると頭ものども痛い。鼻水もでてきた。う~。残念、やはり風邪を引いてしまったか……。でも今日は火曜日。木曜日にはとても大事なプレゼンがある。その前に病院に行くべきなのか? 

 

忙しい日々の生活が予定の通りに行かないストレスは大きいですよね。風邪はもっともよくある病気で、我々にとっての悩みの種です。どうにかして「早く症状がよくなって元気になりたい」とだれしも(私も)思います。今回は風邪の治療として「病院にできること」のお話をします。

 

■ぜひ病院に行くべき風邪

 まず覚えておいていただきたいのは「治療が必要な発熱・のどの痛み」があることです。昨年書かせていただいた記事「甘く見ないで『のどの痛み』こんな症状なら即救急」で、気をつけるべき場合を書きました。具体的には以下のようです。

 「のどが痛くてつばが飲み込めない」「息が苦しい」 「首が腫れていてヒューヒュー音がする」「横になれずに常に座っている」「歩けない」。こういう状態の場合には「風邪ではない命に関わる病気」の可能性があります。救急車を呼んでの来院をご検討ください。

 

■いつも通りの「ありふれた風邪」なら

 上記のような緊急性の高い場合にはぜひ救急受診が必要です。放っておいたら命にも関わりますから、病院は来ていただいた患者さんの治療に全力であたります。

 こういう緊急の場合ではない「ありふれた風邪」は、放っておいても自然に治ります。こちらの風邪の患者さんに、病院ができることはなんでしょう。

 実は、医師としては残念ですが、大したことはできないのです。たいていは、かなりお待たせした後に短く診察して「大丈夫(ありふれた風邪)ですね」と確認し「解熱剤や、せき止めの処方」となります。「風邪がさっと治る特効薬」は残念ながらありません。

 「せっかくつらい中待ったのに!」と思われる患者さんも多いでしょう。そして「抗生物質をください」「点滴をお願いします」とおっしゃる方もいらっしゃいます。でも、どちらもお勧めできません。「お勧めできない理由」をこれから説明します。

 

mainichi.jp